朝鮮王朝三大悪女は次の3人です。
- 張緑水(チャン・ノクス)
- 鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)
- 張禧嬪(チャン・ヒビン)
このページでは三大悪女の悪行や、そう呼ばれるに至った理由などを解説します。
さらに、ヤムジョンやキムゲシなど「三大悪女より悪女」な人たちも紹介します。
悪女に天罰は下るのか?
張緑水(チャン・ノクス)は10代国王・「暴君」燕山君の側室
まずは一人目・張緑水(チャン・ノクス)は10代国王・「暴君」燕山君の側室でした。
生年不明~1506年没
(登場ドラマ:ホンギルドン・王と妃・インス大妃など)
王が暴君で側室も悪女なので、この時代は本当に暗黒時代ですね。
張緑水(チャン・ノクス)は官僚の側室の子として生まれ、周りからは蔑まれながら生きてきました。
年頃になると、王族の召使の奴婢と結婚させられ、最下層の身分になります。
張緑水(チャン・ノクス)はここで男子を出産しています。
貧しい暮らしに我慢ができずに家族を捨てて逃亡、妓生(キーセン:舞妓のこと)になります。
ここでの踊りが評判となり、燕山君の目に留まって王宮へと入ります。
美人というより童顔でかわいい顔立ちで、30歳を過ぎても10代と見間違うほどだったと言われています。
子供もいるのにそれってすごいね
王宮へ入り燕山君の側室となった後は贅沢三昧。
国庫の財産を私物化し、贅沢の限りを尽くしました。
王の燕山君も酒池肉林の豪遊ぶりだったので、本当に枯渇寸前となりました。
このような状況からクーデターによって燕山君は失脚、張緑水(チャン・ノクス)も無事ではいられません。
張緑水(チャン・ノクス)がどのような最期を迎えたかは最後の項を読んで下さい。
鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)は三大悪女で唯一王妃でも王の側室でもない
次は鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)です。
生年不明~1565年没
(登場ドラマ:女人天下・オクニョなど)
鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)は三大悪女で唯一王妃でも王の側室でもありません。
第11代王・中宗の王妃だった文定王后の弟の側室が鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)でした。
鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)も、元々妓生(キーセン:舞妓のこと)で美貌を武器にのし上がった人物です。
鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)は、夫の姉である文定王后の相談役として政治的権力を握ります。
中宗の後を継いだ12代王の仁宗は文定王后の前妻の子でした。
文定王后は自分の子を即位させるために仁宗を毒殺したとされ、その実行役が鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)でした。
毒入りの餅を食べさせたと言われています。
仁宗の死後、文定王后の子・明宗が即位すると女二人でやりたい放題。
この時代を「女人天下」と言います。
関連記事:韓国ドラマ「オクニョ」の王様、明宗(ミョンジョン)はどんな王様だった?
鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)の最期についても最後の項でまとめて紹介します。
朝鮮王朝最悪の王妃は張禧嬪(チャン・ヒビン)?
張禧嬪(チャン・ヒビン)は三大悪女の中で唯一正妃となった女性です。
1659年~1701年没
(登場ドラマ:チャンヒビン・トンイ・テバクなど)
本名をチャン・オクチョンといい、張禧嬪(チャン・ヒビン)は側室時代の呼び方です。
たぐいまれな美貌を持ち、19代王・粛宗の目に留まるものの、王の母によって追放される。
その後宮中へ復活すると王の寵愛を受けて男子(後の20代王・景宗)を出産。
側室の最高位(禧嬪)を経て正妃となる。
最期は悪事の数々が露呈し、愛していた王・粛宗によって死を命じられるというドラマティックな生涯でした。
このため、多くの韓国時代劇で取り上げられ、描かれ方も様々です。
ライバルであったスクピンチェシ(トンイ)との激しい女の戦いも注目されます。
実は張禧嬪(チャン・ヒビン)は、他の三大悪女と比べても特別悪事を働いたというわけではない、という意見が歴史家の中であります。
ドラマによってはスクピンチェシを悪女として描いているものもあるほどです。
粛宗への純愛を貫いた、その過程でライバルを蹴落としていった、ただそれだけだった、と。
まぁ、これをどう解釈するかは意見が分かれるところでしょうけど。
粛宗が恋多き王だったというのも無関係ではないでしょう。
(この話は別ページで書く予定です)
張禧嬪(チャン・ヒビン)の最期は「賜死」というものです。
これも最後の項で解説します。
悪女たちの最期:天罰は下ったのか?
ここからは三大悪女たちの最期について解説します。
まずは張緑水(チャン・ノクス)の最期。
暴君の燕山君がクーデターで失脚した後に張緑水(チャン・ノクス)は斬首にさせられます。
遺体は町中に放置されます。
すると、その遺体に向かって石を投げつける民衆が続出。
あっという間に石塚が出来上がったと言います。
それほど民衆から恨まれていたんだね。
次は鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)の最期について。
鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)は文定王后とともに「女人天下」と言われるほどの傍若無人な振る舞いをしていましたが、文定王后の死後には後ろ盾を失って身分をはく奪されました。
さらに夫の前妻の死に関わった罪に問われると、鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)は自ら命を絶ってしまいました。
最後は張禧嬪(チャン・ヒビン)の最期について。
張禧嬪(チャン・ヒビン)は「賜死」という記録が残っています。
「賜死」とは王によって、自ら命を絶つように命じられることです。
多くは毒薬を自分で飲むことになりますが、張禧嬪(チャン・ヒビン)も毒薬を飲みました。
愛した王の粛宗によって死を命じられるという悲しい最期を迎えています。
悪女たちにはふさわしい天罰の最期でした。
三大悪女より悪女?な人々。ヤムジョンやキムゲシ
ここからは三大悪女よりも悪女ではないか、という人たちを紹介します。
ヤムジョン、キムゲシなど韓国時代劇ではお馴染みの、主人公としても登場する人たちです。
ヤムジョンは実在の廃貴人趙氏がモデル
まず一人目はヤムジョン、「花たちの戦い」に登場します。
ヤムジョンは実在の廃貴人趙氏がモデルで、16代王・仁祖の側室でした。
廃貴人趙氏はドラマの華政では「ヨジョン」という名前で出ています。
ちなみに、「廃貴人趙氏」のように、呼び名の前に「廃」がつく場合は廃位された側室です。
廃貴人趙氏は仁祖の寵愛を独占し、3人の子供を産みました。
仁祖の長男の昭顕世子(ソヒョンセジャ)を暗殺、その正妃嬪宮姜氏も死に追いやります。
また、仁祖の他の側室が懐妊すると毒を盛って流産させるなど悪事を働きます。
仁祖が亡くなり、17代王・孝宗(昭顕世子の弟)が即位すると、廃位されて毒を飲むよう命じられます。
孝宗は「父が愛した女性だから」と、死後の弔いは丁寧に行ったそうです。
キムゲシは醜いながらも有能さでのし上がる
次はキムゲシです。
キムゲシも実在した人物で、光海君の時代に生きた人物です。
「キムゲシ」を漢字で書くと金介屎であり、介屎とは「犬の糞」という意味です。
汚物の名前で呼ばれているくらいですから相当醜かったことでしょう。
奴婢の出身で、王宮で下働きしているころに14代王・宣祖の寵愛を受けて特別尚宮となります。
この寵愛を受けた時点ですでに光海君と出会っており、心には光海君がいたのですが、光海君の父親である宣祖の寵愛を受けました。
姿は醜かったが非常に頭の良い人物で、光海君を王にするために手を尽くします。
また、光海君が即位した後も宣祖の唯一の嫡子である永昌大君を死に追いやり、その母である仁穆王后を失脚、幽閉させてしまいます。
この辺の話は関連記事:実在した貞明公主の生涯:華政(ファジョン)は実話かを読んで下さい。
このキムゲシが主人公のドラマもあります。
「宮廷女官キム尚宮」というドラマで、チャングムで有名になったイ・ヨンエがキムゲシを演じます。
イ・ヨンエにとって初時代劇、初主演の記念すべき作品です。
古いドラマなので配信などでは見つからないのでDVDを紹介します。
興味があったらどうぞ。
光海君がクーデターによって失脚すると、キムゲシは処刑される最期を迎えました。
まとめ:朝鮮王朝三大悪女の悪行と最期
朝鮮王朝三大悪女の悪行と最期についての解説でした。
- 張緑水(チャン・ノクス):自害
- 鄭蘭貞(チョン・ナンジョン):斬首
- 張禧嬪(チャン・ヒビン):賜死
三人とも犯した悪行に相応しい最期だったのでしょうか。
また、ヤムジョンやキムゲシのように三大悪女に勝るとも劣らない悪女もまだまだ存在します。
歴史を語る場合は必ずと言っていいほど悪人が登場します。
その悪人たちの行動が、さらに時代劇などを面白くさせてくれている、とは不謹慎でしょうか。
以上、朝鮮三大悪女でした。
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