運命に翻弄される主人公トンマンの戦いを描いた「善徳女王」ですが、主人公をとりまく人物についても、様々な人間ドラマが描かれています。
今回はトンマンの養母ソファと花郎チルスクの関係や2人の結末について、記事後半ではソファ、チルスクのそれぞれキャストの俳優について紹介していきます。
チルスクとソファは当初敵対していた
ソファは宮廷の侍女で、王妃の娘トンマンを宮廷から連れ出して逃げた人物です。
一方、チルスクは女王の座を狙うミシルより「2人を殺すように」と命令を受け、逃げる2人のあとを追いました。
つまり2人は敵同士ということになります。
洞窟に逃げた2人をあぶり出そうと洞窟に火を放つなど、チルスクがソファとトンマンを追うシーンは非常に恐ろしく、当初チルスクは非道な人物として描かれていました。
そのせいもあり、ソファはチルスクのことをひどく恐れています。
物語の途中で2人の関係性に変化がありますが、ソファは正当な王の血筋であるトンマン側、チルスクは陰謀を企てるミシル側なので、2人は敵対する勢力に所属していることになります。
チルスクはソファのことが好きだった
敵対する2人ですが、物語中盤ではチルスクがソファのことを気にかけ、宮廷までソファを連れ帰る様子が描かれます。
どうやらチルスクはソファのことが好きになってしまったようです。
砂漠でトンマンとはぐれてしまったソファは、トンマンが死んだと思い込み、口がきけなくなるほどショックを受けてしまいます。
そんなソファの世話をしたのがチルスクでした。
ミシルに対してソファは死んだ、と嘘の手紙を送ったり、ソファを宮廷の連れ帰ったあとも、ソファがかつてトンマンを逃がした侍女であることを隠そうとします。
しかし、トンマンが生きていることを知ったソファはトンマンの元に戻り、再び2人は敵対関係へと戻ってしまうのでした。
最終的にチルスクはソファを殺してしまう
その後、トンマンを追い詰めたチルスクでしたが、トンマンと思い殺した相手は、トンマンを装ったソファでした。
自分が手にかけた相手がソファだったことに気づいた時のチルスクの気持ちははかりしれません。
ミシルに恩があるため、ミシルの命令に忠実に生きてきたチルスクですが、その悲劇的な結末には衝撃を受けた視聴者も多かったようです。
チルスクに対するソファの想いは描かれていませんでしたが、最初はチルスクのことをただ恐れていた様子だったものの、最終的には心を許そうとしていたようにも思われます。
2人に結ばれてほしいと願っていた視聴者も多かったはず。
愛するソファを誤って手にかけてしまうなんて、とても悲しいエピソードですよね。
善徳女王を命がけで守ったソファの母性に感動
ソファは真平(チンピョン)王の侍女で、真平王とマヤ王女の間に双子が生まれると、そのうちの一人の養母になります。
それまでのソファは、ドジな小娘という感じで、とても養母の器とは思えません。
しかし15年後、タクラマカン砂漠の旅閣で暮らす二人はもう親子そのもの。
一方ミシルの命で15年間探し回っていたチルスクは、とうとう二人を見つけます。
必死に逃げるソファとトンマンですが、流砂にのみ込まれてしまいます。
そこへチルスクが現れると、ソファは二人をつなぐ縄を切り、トンマンを逃がすのでした。
自らを犠牲にしてでも助けようとする姿に心打たれます。
最初は命令に従っただけでしょうが、このソファの行動は母性からだと思います。
そしてトンマンを失ったと思い込んだソファは、ショックのあまり精神が壊れてしまうのです。
母としてのソファの無償の愛に心打たれます。
ソファとチルスクの愛が切ない
トンマンとはぐれ、記憶をなくし、口もきけず精神を病んだソファ。
そんなソファに寄り添ったのは、追っていた張本人のチルスクでした。
最初は、見捨てることもできずしょうがなく、という感じでしょうか。
二人とも主君の命を受けて、壮絶な15年を過ごし、とうとうチルスクは失明し、ソファは精神を病むほどに。
考えてみれば似た境遇の二人は通じるところがあったのでしょう。
献身的にソファの世話を焼くチルスクに、ソファへの愛情が生まれるのは自然なことでした。
二人は新羅に戻り、チルスクはミシルにソファの身分を隠しますが、ばれてしまい二人は離れ離れに。
その後ソファは記憶を取り戻し話せるようになります。
しかしやっとチルスクが見つけ出し再会しても、ソファはチルスクのことを怖がってしまいます。
タクラマカン砂漠での追跡劇を思い出せば、怖がるのももっともなのですが、この時のチルスクが本当に切ないです…。
おそらく、ソファにもチルスクへの愛情は芽生えていたと思うのですが、「チルスクは我が子トンマンに危害を及ぼす敵」という認識がそれを許さなかったということでしょうか。
相反する主君を持つ二人は、結局敵対することに。
47話、チルスクがトンマンだと思って斬りつけた仮面の女は、囮になって逃げていたソファでした。
ソファ!と叫び悲しむチルスクの腕の中で、ソファは息絶えるのでした。
最後までトンマンを守り切ったソファ、それでもまたミシルの元に帰っていくチルスクに、やるせない気持ちでいっぱいです…。
善徳女王と養母ソファは同い年!?
ソファを演じたのは、ソ・ヨンヒ。
1980年生まれの彼女ですが、なんと善徳女王を演じたイ・ヨウォンと同い年なんです。
同い年で親子同然の関係を演じるとは驚いてしまいますが、韓国ドラマは結構年齢を無視したキャスティングが多いですね。
ドラマ後半、ソファは50歳近い設定でしょうか。
若い侍女から慈愛に満ちた母親まで、ソ・ヨンヒは見事に演じ切っています。
ソ・ヨンヒは「善徳女王」出演後も様々なドラマに出演。
2011年「千回のキス」では主演もつとめました。
プライベートでは2011年に一般人と結婚。
2016年に第一子、2021年10月に第二子を出産しました。
コロナウイルス流行中の妊娠はとても気を使って大変だったようですが、無事生まれたそうでよかったですね。
チルスク役の俳優アン・ギルガン
ここからは『善徳女王』でチルスク役を務めたアン・ギルガン氏をご紹介したいと思います。
アン・ギルガン氏のデビューは1997年。
韓国バラエティーではしばらく悪役俳優として紹介されてきたのですが、時代劇で、哀しさある中年の恋心を表現して旋風的な人気を博しました。
その人気とは、『善徳女王』のチルスク役、2007年『王と私』ケドチ役で控えめな中年の恋心の演技力を見せ、なんと出演シーンが追加されたほどなのです。
特に『王と私』のケドチは、早い段階でいなくなる役でしたが、アン・ギルガン氏の人気が高まり、最終話まで登場することになったそうです。
見てみたくなりますよね。
現代ドラマではコミカル俳優
時代劇では中年の哀愁漂う恋心を上手く表現されていますが、現代ドラマでは、滑稽な演技も上手なのです。視聴者の中ではギルガン氏の出演しているドラマは、「安心感がある」という印象を持っているようです。
たしかに、イケメンすぎて近づきがたいというよりは、ユーモア溢れた親戚の叔父さん感がありませんか。
2016年『恋のゴールドメダル』では、主人公の父キム・チャンゴル役として出ていますが、腎不全で人口透析を受けながらも、親バカっぷりを明るく演じています。
「スタントマンより武術が上手い演技者」アン・ギルガン
そんなコミカルな演技までこなすアン・ギルガン氏の驚くべき特技に武術があります。
2002年『品行ゼロ』ではテコンドーの師範役として出演していますが、実はこの映画の武術指導を務めていたのです。
この映画のクレジットには、武術指導に名前が載るほど。
また、アクション時代劇2010年『チュノ(推奴)』でもアクション演技を披露してくれていますが、撮影現場のスタントマンらも「スタントマンより武術が上手い演技者」としてアン・ギルガン氏を選んだそうです。
これはずっとご自身の体力を保ち続けてきた努力があってこそですよね。
まさに俳優になるために生まれてきたのではないかという天性の俳優アン・ギルガン氏は、その後も途切れることなく、ドラマ映画に出演されています。
2020年『九尾狐伝』、2021年には『テバク不動産』で活躍されています。
2022年2月にはお正月特集のドラマとして『ザ・ドライバー』では主人公テジュンの同僚役として代理運転手で、テジュンのメンターとして深みのある演技を見せてくれるホチョル役を務めています。
今後もすぐお目にかかれそうですね。
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